ジャンプ、飛翔距離を決定するものとは?
2015インカレでのジャンプ。定点撮影を行った。
その結果見えたのは、飛距離に影響を及ぼす重要な要素だった。
ベテランウォータースキーヤーは、勿論周知の内容だろう。
下の写真は、最高の飛距離を出した笠原健太郎選手と飛距離は及ばなかったが最高の高さを飛んだ布野選手の写真である。


高さの違いは一目瞭然である。
そして、次に目立つ大きな違いはスキーロープの張り具合!
これが、次にどのような影響を持つのか、後掲の連続写真を参照されたい。

ジャンプ台踏み切りから高さの最頂点に達する1.2秒経過ぐらいまでは、2選手の位置に殆ど変わりはない。
だが、1.3秒経過以降大きな差がついていく。
笠原選手はまるで何かに引っ張られるように飛距離を伸ばしていく。
逆に布野選手は笠原選手とほぼ同じ姿勢でありながら、自然落下していくように見える。
この間、一貫しているのは、笠原選手のスキーロープは常にボートに一直線に張られたまま着水している点である。
布野選手は0.3秒後からロープが湾曲し始めている。
そして、ロープがたるんだまま着水。
しかし、不思議なことに着水する時間はほとんど同じ。
飛距離が違うにも拘らず滞空時間が同じなのだ。
尤もこれは落下の放物原理に即したものか。
この事は、飛翔時におけるボートとの位置関係が、飛距離に大きな違いをもたらす要因であることを示している。
つまり、飛翔時にすらボートによって牽引されるジャンプの仕方が必要であり、そのためのジャンプ台に至る滑走時に、ボートとの位置関係をどのように取るかが問われてくるのだと思う。
ジャンプ台までの滑走で充分な加速を得るのは当然だが、ジャンプ台突入時にボートがどの位置に達していればいいのか、そしてその方法はどうすればいいのか、ベクトル合わせの数学で解答が出そうだが、スキーヤーは体で覚えるしかない。
次にジャンプ高さについてであるが、より高く飛べればその分落下に要する時間は長くなり、滞空時間は増すはずだ。
事実わずかに高く飛んだ布野選手は、№20、1.9秒時での比較写真を詳しく見ると、着水時の波飛沫が小さく短い事から笠原選手の着水よりわずかに遅いように見られる。
つまり、滞空時間はわずかながら長いのではないか。
布野選手が高く飛べた理由はジャンプ台踏み切りから実に安定した姿勢で頂点に達している事、それでより多くの揚力を得ているように思われる。
姿勢が揚力に貢献した証は、笠原選手がジャンプ台から飛び立って0.3~0.7秒ぐらいまで布野選手のスピードを上回って先行しているが、途中スキー板が立って空気抵抗を受けスピード減殺されるのに対し、布野選手は安定した姿勢で頂点に達し1.0秒経過時に笠原選手と同じ位置に追い付いている点である。
この事からロスの少ない飛翔だったと考えられる。
こうした高さを獲得し、尚且つロープテンションを飛翔時にも確保出来るようになれば、記録更新は間違いないのではないだろうか。
尤も、これ以外の複雑な要因がジャンプの成否にかかわっているはずで、そんなに簡単に済む話ではないのかも知れない。
選手の方々の健闘を祈るばかりだ。
少ないデータからの推論で間違っているかもしれません。
その場合は悪しからず。
もし、そこの処詳しい方が居られましたら是非ご教示願います。
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comment
水上スキージャンプ
Suganoさま、こんにちは。いつも学生の写真ありがとうございます。インカレの時対岸でジャンプ計測を行っていた高杉と同じく運営をやっておりました土屋と申します。インカレのジャンプで学生が飛ぶ前にテストジャンプしていた者と言った方が早いかもしれません。水上スキーのジャンプですが、これも私もかれこれ20年以上飛んでますがいつまでも答えの出ない難しものです。仰る通り水上スキーは全てロープテンションで特にジャンプはその影響が最もでます。笠原、布野ともに確か最高速度の57kmを選択しており、二人とも2ndsegmentfirstという設定も選択しています。これはジャンプ台の横にボートが通るジャンプコースというのがブイで設置されており、GPSの地点登録でタイムを図っているのですが、2ndsegmentfirstを選択すると規定の57kmで引っ張っているよりもさらにジャンプ台から台を出るときに通常設定(RTB)よりもガスを送ってくれてスピードを早くすることができます。ですので自分がカット姿勢で作り出したカットスピードにさらに加速できる状態で、しかも逆サイドから振り子原理で振られて入ってくるので、ロープテンションが保てていればそのまま飛距離に繋がります。笠原は逆サイドからファイナルカットで入りジャンプ台から着水するまでロープテンションを保っているため加速してより遠くに飛べています。布野の場合恐らくジャンプ台に入る位置もあるのですが、途中でファイナルカットのカット時間が若干短く、カットを切りきっていないため、テンションが失われ惰性でのジャンプになってしまうと言ったところです。なのでジャンプ台から出たときにあの長い板が前方からの風をもろに受けてしまい、その風にうまく乗れないので板が立てにあおるような形になります。ただこれはあくまでも上から俯瞰しての話であり、実際はジャンプ台でのランプワークという立体的な部分のうまさも関係しているので全てがうまく行かないと飛距離はなかなか伸びない、というのが実情です。Re: 水上スキージャンプ
土屋様丁寧で詳しい解説、本当に有り難うございます。
ジャンプ飛距離の”謎”といえば大げさかもしれませんが、かねてから不思議に感じていたその”謎”が氷解した思いです。
"2ndsegmentfirst"については、日本水上スキー連盟国内競技規則によりその設定存在を知り得ていましたが、今回両者がその選択をしているのかどうか、またその設定をしていても今回のような違いが出るのか疑問に思っておりました。
ロープテンションを保つ事はジャンプに限らずスラローム・トリックでも極めて大事な事ですが、ジャンプにおいてはファイナルカットでのボートとの距離的見切りがジャンプ後の飛翔に大きく影響するということですね。
さらにジャンプでの高さについてですが、より高く飛ぶことは滞空時間の延長に繋がり、ロープテンションを適切に保てれば飛距離のアップに繋がるものと思います。
高さを得るためには、ジャンプ直後のスキーヤーの適切な前傾姿勢、スキー板の仰角による揚力を活かす事が必要かと思います。
如何に無駄な空気抵抗を受けずに揚力を得るかだと思いますが、スキーヤーはそれを体で感じコントロール可能なのかどうか、興味が尽きません。
コメント本当に有り難うございます。
今後もご教示宜しくお願いいたします。
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